『日本一社員がしあわせな会社のヘンな“きまり”』

日本一社員がしあわせな会社のヘンな“きまり”

日本一社員がしあわせな会社のヘンな“きまり”

 この本の著者は、岐阜にある未来工業(株)という会社の創業者で、彼の考え方と会社の運営方針が一風変わっていることから、テレビなどのメディアでもしばしば取り上げられます。
 この会社は、電気設備資材を製造しているのですが、他社との差別化を徹底した商品作りをしており、1965年の創業以来、赤字なし、高い経常利益率(平均15%)で成長しているとのこと。
 一方、他の会社から見れば「ちょっと変わっている」と思えるルールがこの会社にはたくさんあります。例えば、残業禁止(残業が必要ならもう一人雇え)、営業ノルマの禁止、社員全員が正社員、定年は70歳(60歳からは給料据え置きで下がらない)、育児休暇は3年(何度でも取得可)、年間の休日は有給休暇を覗いて140日、などなど。このように社員が働きやすい環境を整えることにより「この会社のためにがんばろう」というモチベーションを高めているのだそうです。
 そういった、ある意味「ゆるいルール」があると、どうしても易きに流されてしまいそうな気もするのですが、堕落することなく、むしろ同業他社よりも高いパフォーマンスを発揮しているのは、創業者で現在は相談役であるこの本の著者の山田氏のカリスマ性によるものなのかもしれません。
 社会福祉が充実している北欧のようなシステムは、実際に運用するとなると難しい面が多いと思うのですが、岐阜の片田舎の会社がそれを実践しているのは面白い現象だと思います。「不景気だからしょうがない」という理由で、いろんなシワ寄せが当たり前のように従業員に押し付けられることが多い時代に、会社の成長と社員の幸福を両立出来ていることは素晴らしいですし、羨ましいです。