小笠原のサヨナラ

 椎名誠さんは日本各地・世界各地を旅している作家ですが、『続 大きな約束』の中に小笠原(父島、母島)へ行った話がありました。そこで印象的だったのは、島から本土へ帰るときの「サヨナラ」の仕方でした。連絡船「おがさわら丸」が本土へ向けて出航していくときに、島中のプレジャーボートや船足の速い漁船などに島の人が乗って「サヨナラ」を言いながら互いに速度を速め暫く併走するというのが島の別れのキマリのようになっていて、多いときには20艘ぐらいが「おがさわら丸」の左右についてくるのだそうです。そして、もうここまで、というときに船のデッキにいる見送りの人たちが、それぞれ見事なダイビングの技を見せながら盛大に海中に飛び込むのだそうです。その間に見送られる側は、彼らから出航前に首に掛けてもらった本当の島の花で作られたレイを海の中に投げ込みます。そうするとまたこの島に戻ってこられるという「海の約束」があるのだそうです。

 YOUTUBEを検索したら観光客がダイブの様子を撮影した動画がたくさんありました。そのうちのわりと短めなものを貼り付けておきますので御覧ください。
 この動画では、「おお〜っ!」などど歓声があがり、随分と明るい雰囲気になってます。でも、もし自分が見送られる側として船に乗っていて、こういうシーンを目の当たりにしたら、感極まって泣いちゃうだろうなと思います。