『<新訳>留魂録』

 NHK大河ドラマ『八重の桜』で吉田松陰の役を小栗旬が演じていました。視聴者によるネットの書き込みなどを見ると「小栗旬では軽すぎる」といった否定的な声が多いようでしたが、私は逆に小栗旬が演じたことにより「へぇ、吉田松陰ってこんな感じだったのかもしれないんだぁ」と興味を持ち、吉田松陰についてもう少し知りたくなりました。
 そこで読んだのが『<新訳>留魂録』という本。オリジナルの『留魂録』は、吉田松陰が処刑される前に獄中で松下村塾の門下生のために書いた遺書で、この『<新訳>留魂録』では現代の人が読んでも分かりやすいように”超訳”されています。著者の松浦光修氏は皇學館大學文学部の教授で、「左か右か」といえば明らかに「右」の思想をお持ちの方で、そういった観点から思い入れたっぷりに書かれた本でありました。吉田松陰についてあまりよく知らない人が最初に読む本として、この本が適切であったのかどうかは別として(つまり、もう少し中立的・客観的な視点で書かれた本の方が良かったのかもしれませんが)、吉田松陰とはこんなにも熱く燃えて短い人生を突っ走っていった人だったんだ、ということがよく伝わってくるインパクトの強い本であり、この「熱い」感じを小栗旬は意外とうまく演じていたように私には思えました。

[新訳]留魂録

[新訳]留魂録