歯医者に置いてある雑誌

 私が通っている歯科クリニックの待合室には変わった雑誌が置いてあります。『precio』という名前の薄い雑誌で、出版社や販売価格の表示は無く、どうやら愛知県の医師会か何かが定期的に発行している冊子らしく、一般には流通していない物のようでした。内容は、旅とかグルメがメインで、医師へのインタビューのページなどもありました。雰囲気としては、新幹線のグリーン車の席に置いてある『ひととき』という雑誌に少し似ていますが、「あるレベル以上のお金持ちに向けに作られた雑誌」というコンセプトが感じられました。記事もさることながら、広告も高級腕時計とか高級車など高級品ばかりで、フェラーリの広告なんてのもありました。フェラーリの広告が載っている雑誌なんて初めて見ました ^^;) 

 しかし、確かにこの歯科クリニックの経営者はお金持ちなのでしょうが、ここへ治療を受けにくる人は必ずしもお金持ちとは限らないので、こういう雑誌を手に取っても実際に役にたつ情報が得られたり掲載されている広告の品を購入することはあまり無いでしょう。ということは、この雑誌は待合室にいる患者さんを楽しませるというよりは、「うちのクリニックは高級ですよ」ということをアピールするためのアイテムであるような気がします。雑誌というのはしばしばこういう「雰囲気作り」のために使われるようで、美容院などでもお店の性格によって置いてある雑誌が異なるという例はよくあります。あまりに高級志向の雑誌は何だかイケスカナイですが、普段は手に取るようなことが無いような雑誌を通して知らなかった世界を垣間みるというのは新鮮であり、面白い体験ではあります。