外国人バイト

 近頃は、私が住んでいる岐阜のような田舎町でもコンビニの店員が外国人のバイトだというお店が珍しくなくなりました。私がよく利用するお店にも中国人らしき若い女性が2人います。大抵はこのうちのどちらかひとりと日本人のバイトがペアで働いています。しかし先日私がお店に行った時は、日本人はおらず、2人の中国人で対応しておりました。私が商品をカゴに入れてレジへ向かうと、他に客がいなかったこともあってか、片方の中国人がバーコードを読み取り、もう片方が商品を袋に入れる作業を担当しました。そうしながら、私の前にいる2人の中国人女性たちは母国語(中国語)で何やら言葉を交わし、最後に「キャハハッ」と笑い声をあげました。私としては「一体なんて言っているんだろう?」と凄く気になります。「このお客、私好みのイケメンだわ、キャハハッ」と言っているようには思えませんし、「このお客、いつもあんぱんとか大福とかどら焼きとか、甘いものばっかり買ってるのよね、キャハハッ」とも違うような気がします。どうせ他愛ない内容なのでしょうが、なんだか不気味に感じて落ち着きませんでした。

 その2人の中国人女性は、名前が書かれた札を胸元に付けています。片方は「重」みたいな字で、もう片方は「雀」みたいな字。中国では珍しくない苗字なのでしょうが、何と読むのかわからず、たまたま「重」の方は貫禄のある大きくてどっしりとした体型で、もう片方の「雀」は細めのスズメに見えないこともないので、私は心の中で密かに「横綱」と「スズメちゃん」と呼んでいます。胸に付けた名札には顔写真が付いていて、日本に来たばかりの頃に撮った写真なのか、そこに写っている顔はほぼスッピンで純朴そうに見えました。しかし目の前にいる現在の2人は、今風のメイクをして、髪も茶色く染めたりして、パッと見は日本人とあまり変わらない印象を受けました。
 外観だけでなく、コンビニ店員としての対応ぶりも日本人と変わらないほどになってきました。彼女達が話す日本語は澱みが無く、客からの細かい要望があっても、例えば、おでんのタネを選ぶ際に「牛スジとシラタキと大根とハンペンちょうだい。汁は多めに入れてね」なんて言われたりしてもちゃんと対応しているようです。
 逆に、日本人がよその国へ行って、その国の言語を覚えるだけでなく、コンビニのような場所で働けるレベルの語学を習得するのは相当難易度が高いでしょう。そう考えると「横綱」と「スズメちゃん」は大したものなんだなぁ、と感心してしまいました。