代ゼミの校舎閉鎖に関連して考えたこと

 先月の下旬でしたか、大手予備校の代ゼミが校舎の7割を閉鎖するというニュースがあり、NHKニュース9や新聞でも取り上げられていました。少子化による学生数の減少、不況による現役志向が重なったことが主な原因とのこと。私の住む岐阜でも似たような現象が見られ、ふと気が付くと今まで結構繁盛していた中学生を対象とした学習塾がいつのまにか閉校されていました。今のところ、その建物に次の借主が入ることなくガランとしております。大都市ですと、空きの物件が出ると別の人の手に渡って、比較的早いうちに新たな商売がスタートすることになるのでしょうが、岐阜なんかですといつまでたっても空いた状態が続くことが多く、これが地方経済の弱さであり悲しいところであります。数年前までですと、空いたところにコンビニとか携帯電話のショップが入っていたものですが、今ではそれさえありません。唯一経済力がある企業が地元の鉄道会社で、空いたスペースをその会社が買い取っては取り敢えずコインパーキングにしていくということをあちこちで行っております。

 予備校や学習塾の閉鎖というのは、少子化による影響が端的に現れているひとつの例で、実際にはまだ教育業界ほど目に見えていなくても、あらゆる分野でジワジワとしかし着実に影響が進行しているのは間違いなく、私が身を置く食品業界も決して無縁ではなく、というかモロに影響を受ける業種と言ってもよいかもしれません。先の代ゼミの校舎閉鎖を語る際に、他の塾とかその他の習い事(ヤマハ音楽教室とか)は子供だけでなく大人向けのサービスを始めるなどの対策を取ることによって学生数の減少に対応していることが引き合いに出されておりましたが、食品業界というのはそういう手法をそのままでは応用できません。単価を上げることもできませんし、そうなるとあとは海外に販路を広げるぐらいしかないのかな。他の大手菓子メーカーと同様にうちの会社もアジアを中心に輸出量を増やしていますが、今後は更にそちらへのシフトが加速することが予想されます。となると、今までは日本人の好みに合う商品開発を当たり前のように行ってきましたが、そういった根幹的な部分も変革しなくてはならなくなるでしょうし、海外向けのマーケティング部門の更なる強化も必要となってくるでしょう。そう考えると、先行きの不安よりもむしろ何だか会社単位のゲームに参加しているようなワクワクした気持ちになり、これまで単調だと感じでいた仕事の中にも次のステップへ向けての成長のヒントがたくさんあるように思えます。