母はビル・エヴァンスのように・・・

 平日は、仕事を終えて帰宅するのが早いときで9時頃で、10時や11時過ぎになることもしばしばあります。そういう遅い時間帯に帰ると、ほんの何年か前までは、書道家である母は作品作りに没頭していたものでした。しかし近頃では、リビングやダイニングの椅子に腰掛けて書物に目を通しているうちに眠たくなってしまうのか、そのまま額をテーブルに近づけるように体を曲げた体勢でいる姿を度々目にするようになりました。高齢者になると、起きている時間帯であっても所々に休憩を挿みながら日々を送っていくようになりますが、年を追うごとに段々と休憩の頻度が増えたり、1回の休憩が長くなったりするようです。

 そういう母の居眠り時の体勢が、私の好きなジャズピアニストのビル・エヴァンスの演奏時のスタイルによく似ていることに気が付きました。母の曲がった背中や腰を見て「ああ今日も一日ご苦労様でした」という気持ちになりつつも、ビル・エヴァンスのアルバムの中の好きな曲を軽くハミングしてしまう私です。