駅での光景

 3月になると、駅などで花束を抱えた人を見かけるようになります。お勤め先での人事異動、あるいは退職に伴う送別会の帰りなのかもしれませんし、送別会が終わったには少し早い時間帯だと、仕事が終わって帰る際に職場のみんなから「お疲れさまでした」という労いの言葉とともに花束を渡されて拍手されたのかなぁ、などと想像してみたりします。
 4月になれば真新しいスーツに身を包んだ新入社員達が世に出てきてガラッと雰囲気が変わるのですが、その前の3月に駅で見かける花束を抱えた人というのもなかなかしみじみとしたものがあり、全く知らない赤の他人であるにも拘らず、お互い社会の荒波に長い間揉まれてきたというある種の同胞意識からなのか、心の中でこっそりと「ご苦労様でした」とつぶやきたい気持ちになります。