最近の大学受験では、これまでに無いほどに医学部の人気が高まっているそうです。一般企業に就職しても、例え大企業であったとしても東芝やシャープのように経営が困難に陥ってしまうことが珍しくない時代になったということが背景にあるからなのでしょう。医者という職業にはそういったリスクが少ないですから。
しかし、アメリカでは医師は既に過剰になっているのだそうです。特に内科等の医師の仕事の多くを占めるのは検査結果の数値から病状を判断し、薬を処方する作業ですが、これ自体は患者と直に対面する必要は無いので、ネット回線で例えばインドに居る医師と繋げて、モニターを通して診察するという「医療のアウトソーシング」を取り入れている病院が増えつつあるのだそうです。ここで診察を行うインドの医師はアメリカで学位を取って自国へ戻った人なので、医師としての技量も英語でのコミュニケーション能力にも問題はありません。病院としては、アメリカ国内で普通に医師を雇うよりもコストが削減できるというメリットがあります。
今は「インドの医師」が行っている診察も、そう遠くない未来にはAI(人工知能)が行うようになるのかもしれません。そうなると医師の数は現在ほどには必要でなくなるのでしょう。
ただ、患者と直接接する看護士の業務は生身の人間でしか行えない部分も多いのでAIに置き換えられることなく、今後も残っていくと考えられているようです。
外科手術の分野では、「ダヴィンチ」という医療ロボットを導入する病院を見かけるようになりました。これは今のところ胸腔や腹腔の内視鏡手術の補助を行うという限定的な使い方しかされていませんが、こういう技術も今後どんどん進んで生身の人間の外科医に取って代わる日が来るのでしょうかね。