昨日のブログに書いた『劇場』という小説を映画化した作品をアマゾンプライムで観ました。よくある恋愛映画だと言ってしまえばそれまでなのだろうけど、原作者(又吉直樹氏)の意図を監督がうまく映像化していたと思いました。昨日のブログでは、沙希役が松岡茉優さんというのは原作のイメージと違う、というようなことを書きましたが、実際に映画を観てみると、松岡茉優さんで大正解だと、考えが180度変わってしまいました。そして私の頭の中にあった原作小説の沙希のイメージも松岡茉優さんのイメージで上書きされてしまいました。
良かったポイントはいくつもありますが、代表的なものとしては、原作もそうでしたが、永田と沙希が一緒に暮らしていながら、キスシーンすら無くて(勿論それ以上の愛情描写もありません)、徹底してピュアな恋にこだわって創り上げられていたことでした。そういうシーンで何となく二人の愛を表現するという安易な道を選ばず、それ以外の描写で二人の心の中を表現しようとしたのはアッパレです。
良くないポイントもチラホラありましたが、若くて経験の浅い役者さんが多いためか、演技力が十分ではない、結構重要な役柄なのに演技があまり上手くなかったりしたことはちょっと残念。しかし、そうだから余計に松岡茉優さんの演技力の高さが目立っていました。
原作と映画では概ね中身は同じですが、ラストシーンだけは大きく違っていて、映画の方が何故タイトルが『劇場』であるのかが分かり易くなっていました。
永田の相棒役の野原の役を演じていたのは佐藤浩市の息子(ということは三國連太郎の孫)の寛一郎という役者でした。三代に渡って俳優というのも珍しい。