季節の移り変わり

 かつてはテレビやラジオのニュースの天気予報の中に桜が開花しただとか、ウグイスが鳴いただとか、その季節を象徴する動植物の活動や生育に関する情報が盛り込まれていました。単に温度が何度だとかいう無機質な情報に比べ、そういった動植物に関する情報の方が「ああ、もうそんな季節になったのか・・・」と直感的に季節を感じることができるのでした。気象庁は1953年から全国102地点の気象台で植物、鳥類、昆虫、両生類などを対象とした57種類の生物季節現象を記録してきて、その情報は気候変動を始め様々な環境の変化を知るための指標として利用されるとともに、その一部がマスメディア等を通じて広く国民に共有されてきました。しかし、2021年からこの調査は植物6種を残して継続されなくなりました。どうしてそうなったのかは分かりませんが、おそらくは予算とコストの問題であるとか、現代の生活事情に合わない、つまりあまり知らない動植物のことを言われてもピンとこない年代層が増えてきたからかもしれません。しかしながら、70年近く続いてきた季節の動植物情報の蓄積をここで途絶えさせてしまうことは勿体ないという思いから、気象庁環境省、国立環境研究所は過去の生物季節観測を可能な限り継続しつつ、現代的な形で発展させる調査方法に着手しました。そのうちのひとつが「生物季節モニタリング」と呼ばれるもので、これはあらかじめ登録した一般の人がそれぞれのお住まいのエリア、あるいは通勤通学などで頻繁に利用するエリアを調査地とし、そこにおける動植物の季節変化を報告するというものです。現在の参加者は下は小学一年生から上は高齢のじいちゃん・ばあちゃんまで幅が広いそうです。特に難しくもないし、それをするために多くの時間が取られるわけでもなさそうなので、参加してみるのも面白いかな。