他人を巻き込む

 名古屋某所にて、ある若い外国人女性と1時間ほど英語でお話をする機会がありました。この人と話すのは2回目。今回もいろんなトピックについて話したのですが、興味深かった話題のひとつが「他人を巻き込む」ことに関する日本とその女性の国との違いでした。彼女の国では「困っている人がいたらみんなで助ける」し、「何か問題が生じたなら周囲の人にどんどん言ってくれ」という文化があるそうです。そのひとつの例として紹介してくれたのが、彼女たちの日本におけるコミュニティーのメンバーの一人がメンタルを病んでしまった時、彼女の母親がその人を自分の家に住まわせて、食事も提供し、メンタルクリニックを探して一緒に受診して通訳もしてあげて、やがてその人は元気になった、というエピソードでした。血の繋がった親戚とかでなくても、同じコミュニティーの仲間なら援助を惜しまないのが当たり前なのだそうです。翻って日本では、なかなかそうはいきません。何か問題が生じても、一人で抱え込んで他人に相談しないことが多いです。それは何故かと問われたので、おそらくは小さい頃から「人様に迷惑をかけてはいけない」と教育され続けているからだろうと私は答えました。それが日本の社会で最も重要視される事柄だと言えましょう。だから、他人を巻き込んだり、他人に迷惑をかけるぐらいなら自分一人で何とかしようと考えてしまうのです。そしてそれは日本のカルチャーのかなり奥深いところに根を張っている考えなので、変えて行くことは簡単ではないと思われます。