ブックカバー

 本屋さんで本を買う際、レジで「こちらの本にブックカバーをお掛けしますか?」と訊かれます。帰りの電車の中ですぐにその本を読みたいような場合は、カバーを掛けてもらいますが、そうでない場合は「カバー無し」を選択することがあります。
 すると次に「袋にお入れしてよろしいですか?」という質問がきます。ここで「袋も無し」を選択した場合、裸の本を持って本屋さんから立ち去ることになり、それはレジ担当以外の店員または巡回中の警備員の目には万引きっぽく映るのではないかという危惧が生まれ、ちょっとドキドキしますが、レジの店員さんが「このレシートが支払済みの証明となりますので、店内ではこれをお持ちください」的なことを言ってくれるので、そのレシートをしっかりと握りしめてお店を出ることになります。

 本に紙のカバーを掛けるというサービスがあるのは、もしかしたら日本だけかもしれません。アメリカにはそういうサービスは無かったですし、日本に住んでいる外国人はブックカバーなど掛けずに電車の中でペーパーバックを読んでいるのをたまに見かけます。
 ブックカバーを掛けるのは、本を傷付けずに大切にするためというよりは、どんな本を読んでいるのかを電車の中などの公共の場で赤の他人に知られたくないからかもしれません。「本棚を見ればその人がわかる」という言葉があるように、読んでいる本によってその人の凡そのキャラクターがわかってしまうからなのでしょうね。紙のカバーというのは、よく考えたら「エコ」ではなく贅沢なサービスなので、スーパーのレジ袋のように1枚5円とかに有料化されたとしたら、事態は変わるのかもしれませんが。