クモの糸

 我が家の洗面所の、四つある角のうちのひとつの上の方をふと見上げると、クモの巣が張ってありました。背伸びしただけでは届かない高さですので、脚立を持ってきてすぐに排除しようかと思ったのですが、そう言えば、何処から侵入するのか、洗面所の鏡に蚊がとまっていることが時々あるので、そういった蚊の駆除にこのクモの巣が少しは役に立つかもしれないと思い直し、クモの巣は暫くの間はそのままにしておくことにしました。まあ、見た目は良くないけれど、クモの巣が直接的に人間に害を及ぼすことは無いので。むしろ、これから夏に向けて虫が多くなるので、クモにはせっせと巣を張って虫を捕獲してもらいたいような気もします。しかし、そう人間の思うようには巣を張らないでしょうから、アース製薬あたりが「人工のクモの巣」的な商品を開発してくれないかなぁ。

 

 クモの巣と言えば、何年か前に読んだリー・チャイルドの『ジャック・リーチャー』シリーズだったか、ジェフリー・ディーヴァーの『リンカーン・ライム』シリーズの中のひとつに、昆虫オタクの青年が登場する話がありました。その青年いわく、もしもクモの巣で地球全体を覆ったとして(文字通りWorld Wide Web)、それに必要なクモの糸はたった30グラムでしかない、のだそうです(この場合、クモの糸を張り巡らす密度は、一般的なクモの巣のそれと同じと仮定)。小説に登場する人物が言っているだけであり、それが科学的に正しいのかは検証していませんが、私にとってはとても興味深いことであり、クモの糸って凄いんだなぁ、といたく感動しました。小説のストーリーがどんなものだったのかはほとんど覚えていませんし、ジャック・リーチャーシリーズなのか、リンカーン・ライムシリーズなのかさえ定かではないのに、このクモの糸に関する部分だけは強烈に印象に残っています。