岳物語

 先日友人と会った際、たまたま読書の話題になり、私が好きな作家のひとりとして椎名誠の名前を挙げたのですが、その友人は椎名誠を知りませんでした。では、次に会う時に椎名誠の本を持ってくるね、と言って分かれました。そんなことがあったことを今日の会社からの帰りにふと思い出したので、途中で本屋さんへ寄ることにしました。椎名誠の本は、旅を題材にしたエッセイ、私小説的なもの、SF小説など幅広いジャンルに渡り、作品の数もかなりありますが、私にとって「椎名誠の小説といえば、これ!」というのは、『岳物語』。本屋に在庫があるかどうか心配でしたが、幸い文庫本があったので迷わず購入。この本には9つの短編が収められていて、すべて好きなのですが、特にお気に入りなのが、一番最初の「きんもくせい」という作品。読むと、とても優しい気持ちになれます。友人にこの本を渡す前にもう一度、しみじみと味わいながら読んでみたいと思います。