アメリカの貨幣に1セント硬貨というのがあります。表面が銅メッキされているので、茶色をしています。1セントというのは1ドルの100分の1で、感覚的には日本の1円玉のようなものです。アメリカで生活していた頃、買い物の支払いには、クレジットカードや小切手(チェック)も使用しておりましたが、ちょっとした買い物(例えばコーヒー1杯など)は、現金で支払うことが多く、その際におつりの小銭を受け取ります。しかし、他の硬貨(5セント、10セント、25セント、50セント)に比べてこの1セント硬貨はあまり使うことがないため、次第に手元に溜まっていくようになりました。
1年ほど過ぎた頃でしょうか、1セント硬貨が大量に溜まったので、数えてみたところ、500枚(5ドル分)ほど数えたところでめんどうになってやめてしまったのですが、全部で1000枚(10ドル分)ぐらいはありそうな感じでした。この大量の硬貨をポリ袋に入れて、ダウンタウンにある銀行へ持っていき、紙幣に替えてもらうようお願いしました。しかし、あいにくその銀行には硬貨を数える機械を置いていないので、もう少し大きな都市にある他の支店へ送って数えることになる、との返事でした。「ま、そういうことなら仕方があるまい」と今すぐ両替してもらうことを諦めた私に向かって、窓口の女性は「あなたは何枚あると思うの?」と訊くので「そうだな、だいたい10ドル分ぐらいあると思うけど…」と答えると、「じゃあ、今あなたに10ドル渡しておくわね。で、他の支店で枚数を数えた結果、10ドルより多ければ差額分をあなたの口座に入金し、逆に少なければ差し引いておくから」とにこやかにサラッと言って、10ドル紙幣を渡してくれました。「えっ、そんなアバウトでいいの?」と驚きましたが、すごく合理的な解決方法というか、アメリカだなぁ、と感心しました。日本の銀行だったら、こんなの絶対にありえないと思いました (^^)