『鉄子の旅写真日記』

鉄子の旅写真日記

鉄子の旅写真日記

 昨年末にNHKの旅番組(中部地方向けの放送)に矢野直美さんという写真家が出演していました。旅をして写真を撮って文章も書くというスタイル(フォトライター)の彼女の本が何冊か出ているのですが、その中からこの『鉄子の旅写真日記』を読んでみました。
 この本に載っている矢野さんの写真は、無理やり個性を出そうとして奇をてらったものではなく、被写体と素直に向き合って自然にシャッターを押した感じでしたし、本の紙質や印刷の設定にもよるのでしょうが、ふんわりとソフトな印象の写真が多いように思いました。また、文章もソフトな語り口で、「はじめに」のテンションが本文に入ってからもずっと続いているような感じでした。
 
 矢野さんは先に鉄道ファンであって、その後、30代になってから写真を始めたそうです。鉄道が大好きで「シャッターを切りながら『好きです、好きです』と告白しているようなもの」とその熱い想いを語っている動画がYOUTUBEにありました。私は鉄道関係の写真に特に強い思い入れがあるわけではないのですが、被写体に対して「好きです、と告白しているようなもの」という気持ちは分かるような気がします。