フランス人

 ある有名なジョークに次のようなものがあります。

 様々な民族の人が乗った豪華客船が沈没しそうになる。それぞれの乗客を海に飛び込ませるには、どのように声をかければいいか?
 ・ドイツ人には、「規則ですので飛び込んでください」と伝える。
 ・イタリア人には、「海で美女が泳いでます」と伝える。
 ・フランス人には、「決して海には飛び込まないで下さい」と伝える。
 ・イギリス人には、「こういう時にこそ紳士は海に飛び込むものです」と伝える。
 ・アメリカ人には、「今飛び込めば貴方はヒーローになれるでしょう」と伝える。
 ・日本人には、「みなさん飛び込んでますよ」と伝える。

 ステレオタイプといえばそれまでなのですが、あながち間違ってもおらず、それぞれの国民性を端的に表しているように感じられます。この中の、フランス人への声のかけ方にもあるように、フランス人というのは規則に素直に従うような人達ではなく、反体制的精神が強い、というイメージを持っていました。ですから、フランス人は、なるべく「国」との関わりから離れたスタンスで日々の生活を送っているのだろうな、と勝手に思っていました。しかし、昨日読んだ『パリ愛してるぜ〜』によりますと、フランスでは、例えば出産費用が無料だったり、国による失業手当の給付期間が長かったり(例:1年半働いたら、失業してから1年半は失業手当が貰える)、画家(漫画家)のアトリエの家賃に対して国から補助が出たり、等々、かなり社会福祉が充実しているのを知って驚きました。国によるこれらの「手厚い保護」は、おそらくは、主に労働者階級の強い権利意識によって、長い歴史の中で勝ち取ってきたものなのだろうなと思います。反面、そのぶん税金が高いとか、手薄な分野があったりするのかもしれませんが、何だかちょっと羨ましくも感じました。