誤表示

 数日前、日清食品カップ麺で賞味期限2016年とすべきところを2106年と誤表示して回収することになったというニュースがありました。同業者としては「賞味期間が約90年もあるなんて、随分と長期保存が可能なんだな、アハハッ」などと笑って済ますことは出来ず、明日は我が身に起こる事かもしれないと、緊張感が高まった次第でございます。

 こういう日付表示は、生産現場においてはまず印字装置を設定する機械担当者が自分で確認して、次に品質管理担当者が確認、そしてそれらの確認作業がちゃんと行われていることを製造部門の課長等が確認するという2重、3重のチェック体制になっているところが多いと思われます(会社の規模にもよりますが)。しかし、こういう作業は慣れてくると得てして「まあ大丈夫だろう。昨日も大丈夫だったし。」と決めつけてきちんと確認しなくなってしまうことは、特に忙しい時期にはありがちかもしれません。また、事の重大さを認識して慎重に確認作業をする人もいれば、そのあたりの意識が低くて流れ作業的に済ませてしまう人も正規・非正規という立場を問わずいるような気がします。

 回収するかどうかの主な基準は「健康危害があるか」、「お客様の不利益になるか」です。今回の場合は、この誤表示を信じて数十年後に食べて体調を崩すという健康危害と商品代金分の金額の損失という不利益が考えられるので回収は当然。
 例えば、内容量100gと表示されたチョコレートが実際には90gしか入っていなければ「お客様の不利益」になるので回収しますが、逆に誤って110g入れてしまっても少なくとも「お客様の不利益」にはならないので、必ずしも回収するとは限りません。このあたりは各企業のポリシーによって異なります。但し、余分に入ったことによって商品の袋等の容量の上限を超えて包装不良が発生することが考えられるので注意が必要でしょうが。

 予定の数量を時間内に生産することだけに気を取られて何かミスが発生すると、そのミスの処理に余計な時間と費用がかかってしまい、その損失をカバーするには思っている以上の利益を上げなければなりません。確実であることが第一でスピードはその次という意識を忘れずにいたいと思いました。