イイ人、イイ話

 北の湖親方は、現役中も引退後も、そのふてぶてしそうな外見やそっけない言動に似合わず、実はとても心の温かい人だということは、なんとなく知っていました。そして、お亡くなりになってからは、新聞やテレビなどでは北の湖の力士としての輝かしい経歴を紹介するのと併せて「実はイイ人でした」系のエピソードを語る様子が目につきます。そういう「イイ話」が次から次へとゴロゴロと予想以上に出てくるのには驚いてしまいました。相撲界で何か問題がある度に協会理事長である北の湖親方をバッシングしていたのに、お亡くなりになると手のひらを返したように賞賛するのは、マスコミでは毎度のこととは言え、なんだかちょっと納得がいかない部分でもあります。「お亡くなりになった」というタイミングが一般大衆が最もそういうエピソードを求めているからこそ、マスコミはそういうものを提供しているに過ぎないのかもしれませんが、亡くなる前にも何らかの形で「イイ話」を紹介する機会がもっとたくさんあれば、本人も一般人も共にハッピーだろうにと思ったりします。