Three Wise Monkeys


 「見ざる言わざる聞かざる」は、他人や自分にとって不都合なことには首をつっこまず、知らないふりをしていた方が無難である、というある種の処世訓として知られていますが、これについて私は子供の頃から「何かどうも違うような気がするなあ」とピンとこないというか、釈然としないというか、ストンと胸に落ちてきませんでした。実際、この格言の語源については諸説あり、日本へはいろんな場所を経由し伝来した言葉のようですし、世界各地に似たような言い回しがありますが、その解釈の仕方は微妙に異なるようです。
 私が子供の頃にこの格言にピンとこなかった、というかむしろ不信感を覚えたのは、「都合の悪いことには関わらないようにする」という姿勢に「大人のずるさ」みたいなものを感じとったからかもしれません。
 三猿が描かれたものとして日本で有名なのは、日光東照宮の左甚五郎作のレリーフですが、これは実は全部で8枚からなるシリーズで、人の一生を猿の姿になぞらえて表現したもので、その中のひとつに「見ざる言わざる聞かざる」があって、これは「幼少期には悪いことは見ない・言わない・聞かないようにする」という意味なのだそうです。なるほど、そういうことなら納得できますが、良識ある親であればそんなこと言われなくても実践している気がしないでもありません。

 さて、その三猿ですが、「見ざる言わざる聞かざる」とは真逆の「見てやろう・言ってやろう・聞いてやろう」というポジティブ三猿のフィギュアがAmazonで取り扱われているのを知りました。これは欲しいなあと思ったのですが、現在品切れ中とのこと。再入荷したら注文したい気もします。