中村哲さん

 今週もバタバタと慌ただしい日々を送り、ヘロヘロになって帰宅した金曜日の夜。お風呂と食事を済ませると既に日付が変わろうとしている時刻で、とにかくもうとっとと寝てしまおうと思いつつも、リビングのテレビのスイッチを入れるとNHKEテレアフガニスタンで活動している中村哲医師のドキュメンタリー番組が放送されていました。中村医師がどういう人かは何となく知っていたのですが、テレビに映っている中村医師は医療活動もそこそこに、重機を操ったりしてアフガンの地で土木工事を行っていました。一体この人は何をやってんだろうと、眠気も忘れてテレビ画面に見いっていると、長い歳月をかけて大規模な用水路を作り、アフガンの砂漠を緑の大地に変えてしまったではないですか。単に干上がった砂漠というだけなら、それを緑地化することは現代の技術をもってすれば理論的には可能なのでしょう。しかし、充分な建設機材が無いだけでなく、タリバンアルカイダが跋扈し、空からは空爆によるミサイルが降ってくる中で長期間に及ぶ活動を継続していることがスゴイなぁ、こんなスゴイ日本人がいたんだぁ、と深く感動。中村医師曰く、こういう活動は医療の一環であると。つまり、きれいな水が手に入るようにして衛生状態を改善するとともに、栽培された作物によって栄養状態が良くなれば現在この地域の人(特に赤ちゃんや子供たち)が命を落とす原因となっている病気の多くを撲滅できると。これを頭の中で考えたり、理想論を語るところまでなら、これまでにも多くの人がやっていたのかもしれませんが、実際にそれを行動に移したのは中村医師が最初だったのでしょう。そりゃあ、日本にいれば医師として豊かに暮らせるだろうに、そういったものを全て手放して、貧しい国で苦しんでいる人を救うために自分の身を捧げるなんてことはなかなか出来ることではありません。
 中村医師達の活動により緑地化された砂漠は、アフガニスタン全体からみればまだほんの数パーセントらしく、今後も長期間に渡って活動を継続していくとのこと。中村医師のことがもっと知りたくなったので、書籍やネットをチェックしてみようと思います。

医者、用水路を拓く―アフガンの大地から世界の虚構に挑む

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