以前読んだスパイ小説の中に、人混みに紛れている人物を見つけ出すのに、監視カメラで撮影した画像を顔認証システムで解析すると同時に「歩容(ほよう)」によって人物を特定する、というシーンがありました。歩容とは、歩き方の特徴のことで、顔が人それぞれ違うように、歩き方も人によって様々で、歩容による識別は顔認証システムに勝るとも劣らない精度があるかも(?)と言われていたりします。
歩き方が人によって特徴があるように、走り方にも人それぞれの特徴があり、私の場合は街中をジョギングしているランナーを見ると、その人が普段どれくらい走り込んでいるのか、体脂肪率は何%か、フルマラソンのタイムはどれくらいか、といったことが見当がつきます(と言っても、その見当が正しいのかどうか、本人に確かめるわけではないので、正解なのかどうかはわからないのですが・・・)。このように、歩き方とか走り方というのは、本人は意識していなくても、実に多くのことを物語っているのでありました。
そういったことについ目が行ってしまう私は、映画やドラマの中に歩いたり走ったりするシーンが出てくると注目してしまいます。歩くシーンはそれほどでもないのですが、走るシーンは特徴が顕著に表れ、例えば『ジェイソン・ボーン』とか『ザ・コンサルタント』というアクション映画を観ていて、主人公が走るシーンがあるのですが、どちらの主人公もハイレベルの格闘技術を身に付けいるという設定で、悪いやつらをバッタバッタと殴り倒していくのですが、走るシーンはドタドタ、あるいはヨタヨタしていて、「ああ、この人は普段走ってないなぁ」ということが分かってしまって、感情移入が途切れてしまい、ややがっかりすることがあります。映画やドラマではそういった走るシーンもちゃんと演技指導して、リアリティを高めるようにして欲しいなぁ。