思想家の内田樹先生と精神科医の名越康文さんと西靖アナウンサーがパーソナリティを務める『辺境ラジオ』という不定期のラジオ番組があります。昨年末にポッドキャスト配信された回をだいぶん経ってから聴きました。この回は冒頭に、この番組では珍しく曲の紹介がありました。その曲というのはアメリカのパンクロックバンド、GREEN DAYのAmerican Idiotだったのですが、ポッドキャストでは曲は削除されるのが一般的ですので、聴けませんでした。どんな曲なのか気になったので後からYouTubeでこの曲のPVを観たら、これがなかなかインパクトがあって、好きになってしまい、この曲が入っているアルバムを購入して他の曲も聴いたらますます好きになってしまいました。こうなったら取り敢えず順番に聴いていこうと思い、メジャーデビュー後の1stアルバムを買い、よく聴いています。
もともとパンクロックというジャンルには全く興味がありませんでした。何だかこう反社会的で、退廃的でジメジメしているというイメージがあり、パンクというだけで敬遠していました。確かに、そういうパンクもあるのでしょうが、GREEN DAYはロックファンのみならず一般の音楽ファンにも受け入れられるテイストのバンドです。これはたぶん、彼らがカルフォルニア(バークレー)の出身で、アメリカ西海岸特有のカッラとした明るさが彼らの音楽性の根っこのところにあるからではないかと推察します。
『辺境ラジオ』で紹介されたAmerican Idiotは2004年の曲で、当時のブッシュ政権を断じて支持しないというメッセージを込めて作られた曲なのですが、今回、「反トランプ」ということを旗幟鮮明としてあらためていろんな機会に演奏するようになったとのこと。MTVの授賞式でこの曲を歌った際には、オリジナルの歌詞の「f××k America」という部分を「Trump America」と言い換えていました。ちなみにPVではf××kの部分は音声が消されて無音になっています。
こういうのを見てつくづく思うのは、アメリカは一応ちゃんと民主主義が機能しているなあということです。これがロシアだったら、こういう曲を発表した途端にプーチンの指令によりいつの間にか消されているでしょうし、中国や北の国なんかでは市民がこういう曲を発表するなんて恐ろしいことは絶対にあり得ません。日本だって、現在の政権に楯突くようなメッセージを含んだ曲というのは、作ったところでレコード会社が各方面に忖度してリリースを許可しないでしょうし、そもそも現在の日本のように、景気が回復してきて求人倍率も上がり、そろそろ給与も上がるのではという空気の中では社会に対する強い反発は、音楽を作る側は抱かないのかもしれませんし、聴く側もそういったものに共感するほどの不満が無いのかもしれません。
↓ American IdiotのPVです。良識有る「はてなユーザー」の皆様方は、こんな品の無い動画は見るに耐えないでしょうから再生する必要はございませんが、参考までに貼り付けておきますね。