久々の文藝春秋

 文藝春秋という月刊誌を久しぶりに購入しました。ここ数年は、雑誌を買うことなど滅多にありませんでしたし、ましてや文藝春秋などは立ち読みさえしませんでした。それが何故買う気になったかと言うと、村上春樹の特別寄稿が掲載されていて、しかもこれまで語られることの無かった自身の父親に関することが書かれている、という記事をニュースサイトで目にして、これは当然買わねばと思い、発売日に、仕事が終わるといそいそと駅前の大型書店へ向かったのでした。

 今回の村上春樹の特別寄稿は28ページほどで、その大半が彼が幼かった頃の父親との関係や、父親自身の戦争体験について綴られていました。村上春樹は、いわゆる「私小説」というものが好きではないようで、それらしい小説はこれまでには一切無かったように思います。むしろ私小説とは真逆の、現実離れした風変わりな設定の物語が圧倒的に多いです。従って、自分や両親のことについて小説に書くことは無かったですし、エッセイの中でも触れられたことがありませんでした。

 何故、このタイミングで父親について語ることにしたのか、この特別寄稿の中には書かれていませんが、ネットの記事によりますと、おそらくは自分も段々と老い先が短くなってきていることを意識しないわけにはいかない年齢となり、父親との確執を整理しておきたかったのではないか、という見方もあるようですが、本当のところは分かりません。

 確かに、村上春樹も70歳となり、最近のお写真を拝見すると、随分と柔和な表情をしているように見受けられます。ファンとしては、少しでも長生きして、1作でも多くの作品を書いてくれることを願って已みません。

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