郷土の和菓子

 私が住む地域では夏になると「みょうがぼち」という饅頭というか餅のようなスイーツが和菓子屋の店頭に並びます。店先には「みょうがぼち」と書かれた幟や看板が立てられるので、それを目にすると「ああ、もうそんな季節になったのか」と思うだけで、じゃあ買ってみようかという気にはならなかったのですが、久しぶりに食べてみることにしました。

 「みょうがぼち」の「ぼち」とは「餅」が訛ったもので、ネーミングからしていかにも「田舎!」という感じがします。そら豆の餡を小麦粉で作った皮で包み、みょうがの葉を巻いて蒸したもので、餅米は一切使われていないのに何故か「もち(ぼち)」と呼ばれています。みょうがの葉には殺菌効果があるらしく、それを巻くことによって傷むのを遅らせる目的があったようです。

 お味は、とてもシンプルではありますが、優しい甘さで、食べると何だかホッとくつろいだ気分になります。このみょうがぼちが販売されるのはみょうがの葉がある時期だけで、だいたい8月いっぱいか、年によっては9月初旬までだそうなので、この夏にもう一回ぐらい買ってみようかと考えています。