語源

 何かの語源とか由来を知って「なるほど、そういうことだったのか!」という時のちょっと賢くなったような感覚を得るのは大きな喜びで、先日もYouTube岡田斗司夫さんのチャンネルを観ていたらその類の喜びを感じました。それは「ギャング」についてでした。

 20世紀に入り海運業が盛んになった時代に誕生したのが、陸から船に貨物を積み込んだり、逆に船から貨物を下ろしたりする職業。貨物の積み下ろし作業の際に船と陸地の間に板を渡してその上を荷物を担いだ男達が何往復もすることになります。この時に使われる「渡し板」のことをギャング(gang)と言います。

 この荷物を運ぶ男達は一般に数名から十数名のチームになって作業を行っていたそうで、このユニットのことが「ギャング」と呼ばれるようになっていきました。この男達は屈強な荒くれ者が多かったようで、運ぶ荷物の中に高価な物があったりするとそれを盗ることが横行するようになりました。それに困った荷主達がこの荒くれ者達と交渉したり、時には力でねじ伏せる(つまり暴力で言うことをきかせる)役割をさせる組織を作り、その組織も含めて「ギャング」と呼ばれるようになっていきました。しかし、時代とともに機械化が進むと人力の作業は減り、屈強な荒くれ者の男達は職を失いました。そうした男達はやがて違法なことをする組織へと変貌していき、それが現在のギャングの元祖なんだそうです。同様にして、日本では港町の神戸で荷物の積み下ろしを行う屈強な荒くれ者達の組織がやがて山口組になっていったのだそうでうす。どうして神戸だったんだろうと今まで不思議に思っていたのですが、そういう時代背景があって、時の流れによって半ば必然的に産み落とされていったのが山口組なんだと知って納得しました。