『メタル脳』

 中野信子という脳科学者で医学博士のことは一応知っていますし、著書も割とたくさん出ているので、何年か前に2〜3冊読んだことはあります。しかし、能力とか知性は遺伝で決まっているので努力しても無駄、みないなことを中野博士はよく著書の中で主張しているので、そういう身も蓋もないことを言われるとどうも好きにはなれず、たとえ本屋の新刊コーナーに並んでいるのを見かけても手を出さなくなりました。しかし先日、たまたまネットで中野さんが書いた『メタル脳』という本が紹介されているのが目にとまりました。何を隠そう、私はハードロックやヘヴィメタルは大好きなので、一体どんなことが描かれているのか気になったので買って読んでみました。そうしたら、まず中野さんが筋金入りのメタルファンであることが分かって、それが凄く意外で、更にメタルへの愛を最初から最後のページまでずっと語っていて、その熱量に圧倒されてしまいました。専門分野である脳科学的な視点からの解説もあり、若干こじつけっぽい箇所も一部ありましたが、なるほどなと思いました。そして、メタルというジャンルの音楽が好きであることに、やはりちょっと後ろめたさみないなものを感じてこれまで生きてきたのですが、この本を読んで、そういったネガティブな考えが吹き飛びました。