スペインのアストゥリアス皇太子賞は「スペインのノーベル賞」とも呼ばれており、「コミュニケーションおよびヒューマニズム部門」、「社会科学部門」など現在は全部で8つの部門があり、そのうち今年の文学部門を村上春樹が受賞したとのニュースが昨日ありました。各分野の歴代受賞者を調べてみると、スペインを筆頭にヨーロッパ勢が多く、次いで米国、時々南米がちらほらいる感じで、アジア系の受賞者がほぼいない中、村上春樹が受賞したことは画期的だと言えましょう。勿論、村上春樹の作品自体が優れているということもありますが、村上作品は多言語に翻訳されており、勿論スペイン語版も出版されているのに対し、他にもアジアには優れた文学者とその作品が多数あるにもかかわらず、英語に翻訳されることはあっても、それ以外の言語に翻訳されることは、そこにかけたコストに見合う売上が見込める場合でないとまず無くて、村上春樹のような世界的なベストセラー作家ぐらいじゃないとスペイン語版が出せないのが現状で、必然的にアジアからノミネートされる作家の数は限られてくるのだと推察します。しかし、受賞したこと自体はファンとしては嬉しい限りで、これをステップとして是非ともいつかは念願の「あれ」を受賞することを願っております。