『ロング・グッドバイ』

 いつもの「お薦めの映画を紹介するラジオ番組」をPodcastで聴いておりましたら、ゲストの菊地成孔(きくちなるよし)というジャズミュージシャンが『ロング・グッドバイ』を取り上げていました。とても魅力たっぷりにこの映画の見所を紹介していたのでTSUTAYAでDVDを借りてきて観ました。

 この映画の原作はレイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』で、'50年代にハンフリー・ボガード主演で映画化されているのですが、今回の『ロング・グッドバイ』は'70年代にリメイクされた作品です。菊地氏によれば、この映画の頃から「ヒーロー像」がそれまでの正統派から「ちょっと崩れた感じ」に大きく変わり、かの松田優作がこの映画を観て『探偵物語』以降の路線を決定したと言われているのだそうです。
 ストーリー自体は、グイグイと引き込まれるような面白さは感じませんでした。ネットでのレビューによると評価も様々で、原作小説のファンからは総スカンを食らったという曰く付きの作品らしいです。
 興味深かったのは、この映画の音楽を担当しているのが『スターウォーズ』で一躍有名になったジョン・ウィリアムズということです。菊地氏によれば、この頃はまだ「ジョン・ウィリアムズが”ジョン・ウィリアムズ化"する前」であり、彼の本来の音楽性を知るのは驚きでしたし、しかも冒頭に挿入されている曲では、ジョン・ウィリアムズ自身が唄っている声を聴けてしまうのには更に驚きました。
 あと、若き日のアーノルド・シュワルツェネッガーがマフィアの下っ端役で出ていました。セリフは無いのですが、あのムキムキのボディはそれだけで存在感がありました。

 原作の小説は村上春樹が翻訳したバージョンも出ており、既に購入しました。こちらはじっくりと読んでみたいです。