翻訳(その2)

 昨日の記事に書いた海外小説の続きを帰りの電車の中で読んでいると、またまたちょっと変な表現がありました。主人公がホテルのボーイに多めのチップを渡したにも拘らず、そのボーイが便宜をはかってくれなかったことに対して「石部金吉とは奴のことだよ」と一緒にいた女性に言うシーンがありました。石部金吉(いしべきんきち)なんて言葉は知りませんでした。調べてみたら「非常にまじめで融通がきかない人物を表す言葉。石と金属というふたつの硬いものを並べて人名のようにした語句」とのことでした。これは普段目にすることが無い言葉で、ボキャブラリーがひとつ増えたのはいいのですが、海外の翻訳小説の中でこういうコテコテの日本語をあてはめるのは如何なものか。ぶっちゃけ、読んでいるのはあの『ボーン・アイデンティティ』という傑作アクション映画の原作である『暗殺者』という小説で、映画ではマット・デイモンが主演しています。キレキレのアクションを繰り広げているあのマット・デイモンが「石部金吉」などという言葉を使うわけがなかろうに。