翻訳

 今、ある海外の小説(日本語訳)を読んでいます。ストーリーはたいへん面白く、読み出すと止まらないのですが、気になる点もあります。言葉づかいが微妙に古めかしいのです。例えば、記憶喪失になった主人公が過去を思い出そうとするといろんな人の顔が浮かんでくるのですが誰の顔だかわからない、というシーンで「〜しかし今度は名前が浮かんでこない。顔があっても名無しの権兵衛なんだ。」というセリフがあります。「名無しの権兵衛」なんていう言い方は今時しないよなぁ。しかも日本人ならまだしもアメリカ人がこういう言い方をするなんてあり得ない、と思ってしまい、せっかく小説の中に入り込んでいたのが、急に興ざめしてしまいます。あと、例えばハンカチをハンケチとしてあったり。本の奥付によりますと、初版が発行されたのは昭和58年ですので今から32年前。訳者の経歴を検索してみたら1941年生まれでした。まあそれくらい世代だと、そういう古めかしい言葉を使うのもわからないでもないのですが、違和感があるのも確かです。