コーヒーの淹れ方には数種類があり、紙のフィルターを使った「ペーパードリップ」は恐らく最も一般的な抽出方法でありましょう。そのペーパードリップの手順は、最初に少量のお湯を垂らして粉を30秒ほど蒸らし、その後、何回かに分けてお湯を注ぐ(時間としては3分前後)、というものであり、私もその通りにやってきましたし、それ以外には無いと思っていました。
しかし、先日のブログで触れたフリーペーパーのカフェ特集を読み、「松屋式」というペーパードリップの淹れ方があるのことを知りました。松屋式というのは、大雑把に言うと、豆を挽いてペーパーフィルターをセットし(ここまでは通常のペーパードリップと同じ)、少量のお湯を全体に行き渡らせて蒸らすのですが、これが30秒ではなく3分もじっと待つのです。そしてその後、本格的にお湯を注ぐのですが、半分ほど抽出したところで止めます。そこへお湯を(フィルターを通さず、抽出液に直接)注いで薄める、というのが松屋式。
何故、抽出を途中で止めて、お湯で薄めるのかというと、半分ほど経過した段階で既にコーヒーの美味しさの成分は大部分は抽出され終わっていて、それ以上継続すると雑味などのマイナス成分が出てしまうからなのだそうです。
試しに、自分でもこの方法で淹れてみました。確かに、渋味やエグ味などの雑味が少ないスッキリした風味のような気がしないでもありません。でも、渋味やエグ味も少しはあると、それがその豆の個性として現れ、味わい深くなるような気がするのも確かです。例えるならば、カメラのレンズは、昔はまだ技術が高くなかったので、メーカーごとに不完全さが異なっていて、ニコンにはニコンの、キャノンにはキャノンの特徴があり、それがレンズの個性であったりしたものですが、最近ではレンズの製造技術が向上して描写力が高くなったのは良いのですが、どこのメーカーも同じような描写になってしまってつまらないとも言えます。このカメラレンズの状況と松屋式における「雑味の除去」は似ているように思えます。松屋式については、もう少し自分で試してみたいですし、機会があればいろんなカフェのマスターに松屋式についてどう思うのかを訊いてみたいです。