書けない時は

 先日、松尾貴史さんのラジオ番組を聴いておりましたら、ゲストの批評家であり随筆家でもある若松英輔氏が、文章を書くコツについて語っているくだりがありました。それによりますと、原稿用紙なりパソコンなりを前にして、何も文章が浮かんでこず、なかなか書き出せない時は、「書けない」という状況をそのまま文字にしてみるとよいと言っていました。例えば、「書けない。何も言葉が出てこない。何故だろうか?私の中に言葉が無いのだろうか?言葉はあるけど、それがうまく出てこないのだろうか・・・」というように書いてみるのだそうです。そうすると3行目ぐらいから、段々と自分の中から言葉が出てきて筆が進むとのこと。全部書き終えた段階で、最初に書いた「書けない。言葉が出てこない〜」といういわば「助走」の部分を削除すれば、ちゃんとした文章になるのだとか。
 文書を書くことに限らず、何かを始める際、最初のワンステップがなかなか踏み出せないことはよくあります。色々と考え過ぎて、考えがまとまらず、う〜んどうしようかと腕組みをして一歩も前へ進めないことはありがちですが、取り敢えず始めてみる、一歩踏み出してみることが大切で、その一歩が踏み出し易いように、ハードルを低く設定しておくのがコツということなのかもしれません。