アメリカの老婦人

 信州大学ラソンに出場するために松本へ行ってからもう2週間が経ちました。さして重要なことではありませんが「そう言えばあんなことがあったなぁ」的なことでブログに書いていなかったことがありましたので、一応書き留めておくことにします。

 マラソンで走った後に松本城へ行き、天守閣へ昇るのを待つ列に並んでいる際、私のすぐ前にアメリカから観光で来たと思しき老夫婦が並んでいた、ということはブログに書きました。並び始めて暫くして、前の方に並んでいた人が城の中に入り、後ろに並んでいた人がその分だけ前へ進んだ時、私の前のアメリカン老夫婦の女性の方が手に持っているパンフレットのような物の間から一枚の紙がヒラヒラと地面へ舞い降りていきました。見るとそれは松本城の入場券で、これを城の入口でスタッフに見せないと中へ入れません。私はその入場券を拾うと、その御婦人に後ろから"Excuse me, ma'am, you dropped this ticket." と声を掛けました。女性は振り返り、あらまぁ、というような表情を浮かべた後、「アリガト」と片言の日本語で言いながら軽くお辞儀をしました。ここは普通に英語で"Thank you."という言葉が御婦人から返ってくるものと想定していた私は"That's OK.(どういたしまして)"と英語で返してしまいました。アメリカ人が日本語で、日本人が英語で話すという何ともチグハグな会話になってしまいました ^^;) 

 この時に私と御婦人が交わした会話はほんの短いものでしたが、御婦人の振る舞いからこの方の人となりが感じられました。この年代の人達が若かった頃のアメリカは、アメリカが最も豊かだった時代で、今のようにほんの一握りの人が富の大半を独占してしまうようなことはなく、白人の中流階級であればそれなりに豊かな生活が出来ていただろうし、そういう環境で生活していると優雅な立ち居振る舞いが身に付いていくのだろうなぁと思いました。