紳士

 先日、日本人の作家が書いた小説を読んでいたら「紳士」が出てきました。あまり細かい人物描写は無く、ただ「紳士的な雰囲気」みたいな言葉が使われていました。そこで私の頭に浮かんだビジュアルイメージは、コントに出てくるようなシルクハットをかぶってステッキを持っているというものでした。それではあまりにも現実離れしているのでそのイメージを消し去ろうとしたのですが、一度頭の中に浮かんだものはなかなか消えてくれません。そこで、実在する著名人の中で紳士的な人の画像を見ることによって頭の中のイメージを上書きしてしまおうと試みました。グーグルで検索すればすぐに見つかるだろうと思っていたのですが、誰が見ても紳士的な雰囲気の人というのはなかなか見つかりません。紳士的な雰囲気が少しだけある俳優はいましたが、それ以上に「非紳士的」な要素が強く前面に出ていて、私の求める紳士ではありませんでした。そこでグーグル検索は諦めて、誰かいないものかと自分の頭の中の記憶をさぐっていって、ようやく辿り着いたのが10年前にお亡くなりになった児玉清さんでした。児玉さんの場合、ドラマや映画よりも「アタック25」で司会をされていた頃のイメージが強いのも事実ですが、「大事な大事なアタックチャ〜ンス」というフレーズを言う時にさえ紳士的でありました。今のところ、他には思い当たりません。簡単に見つかると思っていたのに、いそうでいないのが紳士なのかもしれません。