伊勢詣

 早朝、平日に会社へ行く時刻よりも早く家を出て、いざ伊勢神宮を目指しました。まずは外宮へ。参拝者の数は少なかったですが、外宮は大体いつもこんな感じかもしれません。そのままバスで内宮へ行こうかとも思ったのですが、せっかく来たのだからやっぱりちゃんとお参りしておこうと思い、タクシーで月讀宮つきよみのみや)と猿田彦神社を経由することにしました。タクシーの後部座席に乗り込むと、初老の運転手さんが大きな声で「ようお参りに来てくださった!」と迎えてくれました。だいたいこのあたりのタクシードライバーというのは自発的に観光ガイドの役も担っているようで、内宮・外宮、そしてたくさんある別宮や摂社などについて説明する人が多いのですが、今回の運転手さんも頼みもしないのに、まるで説明音声の再生ボタンを押したかのように、急にあれこれと説明を開始しました。淀みの無い語り口から想像するに、おそらくはお客さんを乗せるたびにこの説明を文字通り何百回と繰り返してきたのでしょう。しかし、こちとら伊勢詣でに関してはそれなりに回数を重ねてきているので大方は知っていることでした。ただ、せっかく気持ち良さそうに語っているのに水を差してはいけないかなと気を遣って(なんで客がそこまで気を遣わないといけないのか分かりませんが)適当に相槌を打っておきました。しかし、そんな説明の中にふたつほど私の知らないことがありました。「伊勢神宮というのは、内宮と外宮の2つの正宮、14の別宮、109の摂社・末社・所管社の合計125社から成っている」ということは知っていたのですが、「毎年1月11日にはこれら全てのお社の神様達が内宮に集合するので、この日に内宮の正宮を参拝するだけで125社を参拝したことになり、外宮すら参拝する必要はない」とは知りませんでした。私もいつか、1月11日がたまたま土曜か日曜であれば、その日に内宮を参拝してみたいです。とは言え、幾つか別宮を巡ってから内宮に辿り着くというのも、それはそれで楽しかったりするのですが。

 月讀宮猿田彦神社を参拝している間、運転手さんはタクシーを止めて待っていてくれるのですが、私が戻ってくるとまた説明が始まりました。やれやれと思いがらも聞いていると、内宮の入口に架かっている宇治橋の北側(内宮の中側に向かって左側)の欄干の左から2つめの擬宝珠(ぎぼし)の中には御神符(おふだ)が納められており、この擬宝珠に触るとまた伊勢神宮へ来ることができると言われている、のだそうですが、それは知りませんでした。実際に左から2つめの擬宝珠に近寄って見てみると文字が刻まれていました。

 内宮へ到着した時点では空はどんよりとした雲で覆われていたのですが、正宮の手前まで来ると突如、雲の切間から光が差し込んできました。

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 正宮と別宮への参拝を済ませ、おふだやお守りを頂いてから出口へと向かいました。伊勢神宮には内宮と外宮にそれぞれ2頭の馬がいます。そのうちの1頭である草新号(くさしんごう)を見ることができました。普段、間近で馬を見ることは無いのですが、こうしてまじまじと見ると、馬というのは随分と美しい生き物なのだなぁと思いました。

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 そして、休憩所へ入ると何故か屋内で2羽の鶏が放し飼いにされていました。本日は鶏を屋内へ入れる儀式みたいなものがある特別な日なのだろうか?

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