いつもと違うバス停で下車

 朝、家を出る時に少しだけ雨が降っていました。しかしそれはほとんど降っていないようなとても弱い雨で傘無しでも大丈夫なくらいでしたし、玄関のカギを開けて家の中に戻って傘をとってくるのは面倒だし、これに似たような空模様はこれまでにも何度かあって大抵は名古屋へ着く頃には雨が上がっていたので今回もそうであるに違いないと判断し、そのまま駅へ向かいました。しかし電車が名古屋へ着いてみると、むしろ雨は岐阜よりも少し強いようで、行き交う人々の半数以上が傘をさしているのが見えました。ここで私は傘を持ってこなかったことを後悔しました。本格的な雨ならともかく、傘無しでもギリギリ何とかなるようなこの程度の雨のためにコンビニでビニール傘を買うのは勿体無い気がしました。そこで、いつもは会社の2つ前のバス停で降りて10分ほど歩いているのですが、今回は会社の前のバス停で下車することにしました。早い時間帯ということもあり、バスの中には私を含めて4人しか乗客はいません。私がいつも下車しているバス停が近づいてきて、運転者が「次は〇〇町◯丁目」とアナウンスしました。この運転手は普段からこの時間帯のこの路線の運転を担当していてどこで誰が下車するのかを把握しているのか、私がボタンを押さなかったことを「いつもと違う」と感じたみたいで、「次は〇〇町◯丁目です、降りられる方いらっしゃいませんか?いいですか?ほんとにいいですか?」と何度も繰り返しアナウンスしました。私が居眠りしているかボーッとしているとでも思ったのかもしれません。その期待に応えて降りてやろうかとも思ったのですが、そういうわけにもいかず、会社の前のバス停で降りました。別に何か違法なことをしているわけではないので、降りたいバス停で堂々と降りればよいのは分かってはいても、どうも色々と気を遣ってしまうのでした。