和製アクション小説

 アクション小説が大好きなので、書店へ行く度に新刊が出ていないかのチェックすることを怠りません。このジャンルの小説となると海外、主にアメリカの作家による作品が圧倒的に面白いものが多いです。しかし、そういうのを片っ端から買っては読み買っては読みしていったので、面白そうな作品はあらかた読み尽くしてしまいました。そうなってしまうと仕方がないので日本人の作家が書いた作品にも目を向けることになるのですが「これは!」というものはなかなか見つかりません。そんな折、アクション系の娯楽小説を多数出している月村了衛(つきむら りょうえ)さんの本に手を出してみることにしました。選んだのは『脱北航路』。北朝鮮の海軍の潜水艦乗りの軍人が演習中に亡命して日本へ向かうというお話。しかも日本人拉致被害者を連れて。着想は面白いなぁ、と期待しながら読み進みました。潜水艦内部のかなり細かいところまで描写されており、この作者は相当な軍事知識を持っていることはよく分かりましたが、ストーリーの展開はいささか陳腐で、何となく先が読めてしまい、もう少し捻りが欲しいところでした。しかし、日本人としては数少ない、貴重なアクション小説作家なのでこれからもどんどん作品を発表し続けて欲しいし、読者を唸らせるようなクオリティの高いアクション小説が発表されることを願っております。