初めての西加奈子

 西加奈子という作家がいることは知っていましたが、まだ読んだことがありませんでした。新刊本が書店で平積みされている光景はよく見かけますので、手にとって最初のページを少しだけ読んでみたことはありましたが、自分が読みたいタイプの小説ではなさそうだな、という気がして結局は買って読むことはありませんでした。それが先週末になって突如、西加奈子の小説を「読んでみたい!」と思い、たくさん出ている本の中から『うつくしい人』を選びました。これがなかなか面白くて、最初のうちは何だか軽い感じの小説だなという印象だったのですが、徐々に物語の世界の中に引きずり込まれていってしまいました。前半は確かにちょっとジメジメした暗くて気が滅入るような部分もありますが、後半からラストにかけては読んでいるといろんな感情が入り混じり、最終的には綺麗にまとまっておりました。こういうタイプの小説は女性にしか書けないと思い、この一冊ですっかり西加奈子ファンになってしまいました。いつかもう一回読み返してみたい小説です。そしてありがたいことに、西さんの本はかなりたくさん出ているので、今後も暫くは楽しめそうで嬉しい限りです。

うつくしい人 (幻冬舎文庫)

うつくしい人 (幻冬舎文庫)

  • 作者:西 加奈子
  • 発売日: 2011/08/04
  • メディア: 文庫