おはぎを買いに

 仕事が終わるのが少し遅くなってしまいましたが、デパートの閉店時間までには何とか間に合いそうでした。そこで、駅前の高島屋の地下1階に入っている『仙太郎』という和菓子屋へ寄っておはぎをサッと買って、サッと電車に乗って帰ろう、という計画を立てました。この時間帯に『仙太郎』へ来たことが何度かあり、ショーケースの中に残っている商品が少ないのが心配でしたが、客がいることはまず無いので、待ち時間ゼロでサッと購入できるはずだとタカを括っていました。高島屋の入口を通り抜け、階段を駆け降りて目指す『仙太郎』へと足速に進み、さあサッと買ってサッと帰ろう、と思ってふと見ると、『仙太郎』の前にこれまでに見たことが無いような長蛇の列がありました。ざっと30人は並んでいました。えっ!?、うそだろっ!、この時間帯にこんなに客がいるなんてあり得ない、とショックのあまり私は膝から崩れ落ちそうになりました。この列に並んで待つ時間は私には無いので、そのまま何も買わずに帰りました。しかし、この客達は一体何を買おうとしていたのか?店の前には客の列が3重になっていて隙間が無く、ショーケースの中を伺い見ることはできませんでしたし、ネットで『仙太郎』の公式サイトを調べてみてもこの日にに特別なものを販売するという記載はありません。ただ、この日は「中秋の名月」でしたので「月見だんご」を買い求める客だったのかもしれません。