ノーベル文学賞の発表が日本時間の夜8時にありました。数年前までは、この時期にテレビのニュース番組で村上春樹のことが取り上げられていた頃もありましたが、最近ではそのようなフィーバーは全く見られなくなりました。思い返してみれば、あの頃はまるでオオカミ少年のように騒ぐマスコミに人々が踊らされて期待感でいっぱいになり、持ち上げるだけ持ち上げておいてストンと落とす、ということが繰り返されておりました。そういうのがなくなったのは良いことですが、あたかもこの先ずっと未来永劫、村上春樹が受賞することは無いかのように扱われるのもファンとしては遺憾ではあるのですが。
NHKのニュースサイトに載っていた記事で、もしかしたらテレビニュースでも放送されたのかもしれませんが、中国では現在、川端康成の小説がブームで、特に『雪国』が人気で複数の出版社から中国語に翻訳された本が出ているのだそうです。中国では著作権の期限が切れるのが作者の死後50年(日本は70年)で、川端康成の死後50年経った昨年に期限切れを迎えたことも中国で大々的に出版されたことの理由のようです。政治の世界ではなかなか良い関係を築けない日本と中国ですが、文学作品が広く読まれることが一般の人々の相互理解に繋がることを願いますし、文学の力は大きいんだなとあらためて感じました。