予約しておいた本

 先日、予約しておいた村上春樹の新刊を会社の帰りに受け取りに行きました。暫く前のブログにも書きましたように、この本は初版10万部のうちの9万部を紀伊国屋書店が買い取り、自社の書店で3〜4万部を確保し、残りを他社の書店へ配本するという戦略で、これはAmazon等のネット販売への対抗措置とのことでした。ですから、これは手に入れるのが困難になるかもしれないと危惧した私は予約をしておいたのでした。考えてみれば、予約して本を購入したことなんてこれまでに無かったかもしれません。
 新刊は『職業としての小説家』というタイトルのエッセイなのですが、私としたことがタイルをウロ覚えだったため、電話で予約した際に本のタイトルを『小説家という職業』と伝えてしまったので、ちゃんと予約が通って本を受け取ることが出来るのか一抹の不安を抱いていたのですが、幸いにして、問題無くしっかりと手に入れることが出来ました。というか、その書店の新刊コーナーには『職業としての小説家』が大量に平積みされていたので、わざわざ予約する必要は無かったかもなと思いました。

 そうして購入した『職業としての小説家』をカバンに入れてそそくさと書店を出た私は、すぐに近くのスタバに入り、いつものダブルトールラテをすすりながら、ゆっくりと、しみじみと味わうようにして取り敢えず第1章を読みました。私の村上春樹の楽しみ方は、一気に読んでしまうのではなく少しずつ、まるで超高級なウイスキーを味わうかのように、あるいは大好きなスイーツを食べるように、チビチビと、ゆっくりと読み進めます。じっくりと味わいたいですし、読み終えてしまうのが惜しいので。
 村上春樹の魅力を説明するのは難しく、分かる人には分かるけど、分からない人にはわからない。分かる人には1〜2行読んだだけでもピンとくるものを感じるのでしょうけど、分からない人には「一体こんな作品のどこが面白いのか?」と感じることでしょう。これはどちらが正しいとか、どちらが文学的センスがあるといった問題ではなくて、単に好みの違いだと思いますが、この作家の魅力を味わうことが出来て私はとっても幸せだと思います。

 ところで、もう少しすると毎年恒例のノーベル賞発表の季節が巡ってきます。今年もまた村上春樹ノーベル文学賞の最有力候補として注目を浴びることでしょうが、たぶん今年も空振りなのではないかと予想しています。でもそれで村上春樹の魅力が損なわれることは無いでしょうし、へたに受賞してしまって、その後の執筆活動に変な圧力がかかってしまうよりは(ノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領がその後、軍事面において思い切った政策が取れなくなって「へたれオバマ」というレッテルを貼られてしまったように)、このままノビノビとコンスタントに新作を発表してくれる方がファンとしてはありがたいです。

職業としての小説家 (Switch library)

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