- 作者: ミック・ヘロン,田村義進
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/10/10
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (8件) を見る
日本では、出世コースから外れたサラリーマンのことを随分昔は「窓際族」などと言っていて、そういう意味合いが『窓際のスパイ』というタイトルに込められているようですが、近頃では「窓際族」なんて言葉は使わないので、なんだかちょっとセンスが古いような気がします。ちなみに原題は"SLOW HORSES"、直訳すると「遅い馬」、つまり競走馬としての能力が無い(あるいは無くなった)馬という意味で、こちらの方がピンとくるような気がします。
ストーリーは、イギリスの極右グループがイスラム系の男性を拉致し、この事件に「窓際のスパイ」達が巻き込まれるのですが、実はその裏にはある陰謀が隠されていて・・・、という内容です。イスラム絡みの事件としては、現実の世の中で起こっていることの方がよっぽどヒドイのですが、話の運び方とか、人物描写が優れているので「さあ、これからどうなっていくんだろう」とワクワクしながらページをめくる手が止まらず、楽しんで読むことが出来ました。
この本の作者であるミック・ヘロンの著作はいくつかあるようで、本国では有名な章を受賞しているらしいですが、日本語に翻訳されているのはまだこの『窓際のスパイ』だけのようです。早く次回作が読みたくてウズウズしてしまいます。