活字中毒者

 テレビのニュースなどでは4月29日から「本格的に大型連休に入った」と言う表現をよく耳にしましたが、カレンダー通りのところも多いようで、うちの会社も5月1日は出勤日でした。

 会社帰りに駅前の大型書店に寄りました。この書店は緊急事態宣言を受け、平日は11時から19時までの短縮営業で(通常は10:00~21:00)、土・日・祝日は休業となっております。つまり、5/2~5/6は休業で、次にお店が開くのは5/7です。更に、例年の連休と違って外出自粛なので長時間家に居るとなれば本を読もうと思う人も多いだろうから、お店には客がたくさん居るのだろうな、と軽い気持ちでおりましたら、私の予想を大きく上回るたくさんの人で溢れかえっていました。閉店時刻が迫っていたのでお目当ての本を素早く手に取って会計を待つ列に並ぼうとしたのですが、これが今までに見たことがないほどの長蛇の列でした。レジ前から伸びる列を最後尾を目指して遡りながら客の数をカウントしていくと34人もの客が並んでおり、私は35番目に並びました。列は少しずつ進み、私の番が来るまでに20分ほどが経過しました。私も含めてここに並んでいる人たちは皆「活字中毒者」なんだろうなぁ。活字ならネット上にも幾らでもあるけれど、やっぱり紙の本でないと満足しないタイプなんだろうなぁと思うと、妙な仲間意識のようなものを感じました。

 本ならば書店へ行かなくてもアマゾンで注文するという選択肢もあります。しかし、最近のアマゾンは「一時的に在庫切れ」という表示をやたらと目にするようになりました。以前はこんなことはありませんでした。これはアマゾンが生活必需品の販売を優先し、書籍の在庫補充は後回しになっているからだそうです(あるラジオ番組で言ってました)。それに加えて、アマゾンのセールスポイントのひとつであった「翌日配達」というサービスも一時的に休止しているようで、荷物が手元に届くまでの日数が増えました。届くまでの2~3日を待つのがもどかしいので、書店へ行ってしまう心理というのもよく分かります。

 「活字中毒者」と言えば、椎名誠さんの初期の作品に『もだえ苦しむ活字中毒者地獄の味噌蔵』という本がありました。どんな内容だったかはほとんど覚えていませんが、また読んでみたくなりました。