銭湯

 自宅の浴室がリフォーム中で使えないため、銭湯を利用することにしました。スーパー銭湯でもいいのだけれど、普通の銭湯が近くにないかなと思い、グーグルマップで検索してみると意外と近くに1軒ありました。スーパー銭湯が新規にオープンすることはあっても普通の銭湯は消えてゆく一方なので、歩いて行ける範囲に普通の銭湯がまだ残っていたことに驚きました。行ってみると、住宅街の一角にその銭湯はありました。大きな看板があるわけでもなく、周囲の風景に溶け込んだひっそりとした佇まい。ガラガラっと戸を開けて中へ入ると、フロント式ではなく番台があり、そこに白髪の婆さんが座っていました。番台などというのは昭和の時代にとっくに絶滅したと思っていたのですが、テクノロジーが進化した21世紀になっても残っていたとは。料金(420円)を払い、靴を下駄箱へ入れ(下駄箱のカギは木製)、ロッカーの中に荷物を入れて脱衣し、シャンプーやボディソープなど一式を持って浴室へ入りました。先客は一人だけでした。私は3つほどある浴槽のうちのひとつに浸かりました。暫くすると別の客が入ってきました。何気なくそちらを見ると、その男性の背中には大きな鯉の入れ墨が入っていました!カラーではなくて紺色の単色ですが、なかなか迫力がありました。まさかこんなものが見られるなんて全く予想していませんでした。近頃は、スーパー銭湯やプールでは入れ墨は勿論、小さなタトゥーがあっても「入店お断り」というところがほとんどなので、こういう業界の人は昔ながらの銭湯へ行くしかないのかもしれません。て言うか、自分のアパートにはお風呂が付いていないのだろうか? 老夫婦が経営していると思われるこの銭湯も、彼らがまだ健康なうちは存続するのでしょうけど、そう遠くない未来に閉店してしまうことでしょう。決して快適で清潔とは言えないこの銭湯ですが、今では希少となってしまった昭和の時代の日常を味わうためにもう1回ぐらいは来てみようかと思いました。