甘納豆

 昭和元年から京都で甘納豆を作り続けている斗六屋(とうろくや)というお店があります。主に製造販売しているのは昔ながらの甘納豆なのですが、商品ラインナップの中に1品だけ異色の甘納豆がありました。なんと、チョコレートの原料であるカカオ豆を甘納豆にしちゃったのでした。同じく京都に店を構えてクラフトチョコレートを製造販売しているDari Kというお店とのコラボ商品なのだそうです。チョコレートを作っている会社に勤めている者としては興味があり、是非食べてみたいと思ったのでオンラインショップで注文しました。せっかくの機会なので昔ながらの甘納豆も食べてみようと思い、北海道産白花豆の甘納豆と大納言小豆の甘納豆も併せて購入しました。まずは白花豆を、次に大納言小豆を食べてみました。これらは、決して奇を衒うのではなく、代々受け継がれてきた製法を忠実に守って作られたであろう、正統派の甘納豆でした。

 そしていよいよ注目のカカオ豆の甘納豆。果たしてどんな味がするのか期待しながら口に運んでみましたところ、これがチョコレートとはまた異なる形で苦味と甘さが絶妙なバランスで溶け合っていました。個性が際立つ風味で、「すごく美味しい」というわけではなく、万人受けするとは思いませんが、伝統と現代的な感覚が見事に融合した、おそらく京都だからこそ生まれた品のように思えてなりません。更に、カカオ豆にはポリフェノールと食物繊維が豊富に含まれるので健康にも良さそう。次は、コーヒー豆の甘納豆を作ってくれないかなぁ。(カカオ豆の甘納豆の写真も他の2種類の甘納豆と同様に自分で撮影してみたのですが、うまく撮れなかった、というかある昆虫のように見えてしまうので、やむを得ず斗六屋さんのホームページのお写真を拝借致しました。)