GO WILD 野生の体を取り戻せ! 科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス
- 作者: ジョンJ.レイティ,リチャード・マニング,野中香方子
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2014/12/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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そうして紹介されていたものの中で、印象に残ったものはたくさんあるのですが、私にとって特に面白かったのは「動くことで脳を形成(あるいは再形成)する」という論理。つまり、体を動かすという目的があって、そのために脳がある。逆に、体を動かす必要が無ければ脳は要らない、あるいは必要最小限の大きさがあればよい、という説。動物にとって体を動かす最大の理由は「エサを見つける」ことであり、エサを探し求めて移動する必要が無ければ脳も必要無い。ここで紹介されていたのがコアラです。コアラは、大昔、コアラの進化の歴史の初期においては、食性が多様、つまりいろんなものを食べていました。しかし、ある時期にユーカリの木に出会って、ユーカリさえあればもう他の食物を探して移動する必要が無くなりました。そうなると、脳の必要性も低下して、脳はどんどん縮小していきました。脳の外側にある頭骨が脳が小さくなって行くスピードに追いついていないため、小さくなった脳が頭骨の中でコロコロと転がっているのだそうです。
もうひとつの例がホヤ。誕生したばかりのホヤは海の中をしきりに泳ぐ。その目的はただひとつ、食料が豊富な場所を見つけること。そしてその目的を達成すると、まず自分の脳を食べてしまう。もう動かなくていいのだから脳はいらない、というわけ。
このように、体を動かすことと脳には密接な関係があります。体を動かすために脳は発達するし、体を動かさないと脳の機能が低下する。多くの研究で、記憶力の軽い衰えから完全なアルツハイマーまで、調査された全ての認知障害において、運動が明らかな改善効果をもたらすことが示されているとのこと。また、中年期の日常的な運動には、晩年期の認知障害を防ぐ効果もあるらしく、こうした一連の研究結果から、認知障害は老化の結果というよりはむしろ、動かない生活の結果と言えるかもしれません。
こうした本を読むと「運動しなきゃ!」と思いますが、ここでいう運動はそんなに激しいものではなくても良いようです。ただ、出来るだけ複雑なものの方が良くて、スポーツジムのランニングマシンの上を走るよりは、トレイルランのような山の中の道を走った方が体の様々な感覚が刺激されるから、同じカロリーを消費したとしても、脳に与える影響には大きな差があるようです。そろそろ涼しくなってきたので、私もジムの中ではなくて、屋外を走ってみたくなりました。
脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方
- 作者: ジョン J.レイティ,エリックヘイガーマン,John J. Ratey,Eric Hagerman,野中香方子
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2009/03/20
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