脳と運動

 

一流の頭脳

一流の頭脳

 

 『BRAIN 一流の頭脳』という本を読みました。著者はスウェーデンのカロリンスカ医科大学(ノーベル医学・生理学賞を選考する機関でもあります)で医学を学んだアンダーズ・ハンセン医師。

 この地球上に人類が誕生して数百万年が経ち、その間に科学技術はめざましい進歩を遂げてきました。人間を取り巻く環境やライフスタイルは数百万年前とは比べ物になりません。しかし、そういった外的環境と皮膚1枚を隔てた人間の体の中の生理メカニズムというのは数百万年前と比べて大して変わっていません。この事実を踏まえて、人間の健康に関して大きく分けると2つの考え方が生まれました。ひとつは食生活で、大昔の農業が無くて米や小麦をまだ食べていなかった頃、人類は狩りをして動物を捕らえて食べていました。人間の代謝カニズムはその頃と変わっておらず、米や小麦を大量に摂取するのに適した身体にはなっていないので、糖質を制限し高タンパクな食事をするべきだ、という考え方。そしてもうひとつは、太古の人類は獲物を捕まえるために長い距離を走ったり歩いたりして移動しており、そうすることが脳の発達を促したから脳の状態を良くしたければ運動すべきだ、という考え方。今回読んだ『BRAIN 一流の頭脳』は後者に属するもので、運動することが何故脳の発達を促すのか、他の本(例えば『脳を鍛えるには運動しかない!』という本)よりも深く掘り下げて説明されており「なるほど、そういうことか!」と合点がゆく点が多かったです。