小説の文体

 小説の文体は勿論、作者によって様々であり、個性的であり、それが小説家を小説家たらしめている重要な要素のひとつであることは言うまでもありません。取っつき難くて読むのが苦痛で慣れるのに時間を要する文体がある一方で、最初のページの1行目から文体が奏でるリズムと読者である私の心の波長がピッタリと一致して、そのまま物語の世界へ連れていかれてしまう文体もあります。私にとっては「最初のページの1行目から」に該当する作家は村上春樹かもしれません。私だけでなく、国内外を問わず村上作品が多くの人に愛読されている秘密のひとつはその文体にあるような気がします(但し、外国語に翻訳された際にオリジナルの文体が持つリズムがどれほど再現されているのか分からないので、翻訳版においても文体が重要なファクターになっているとは断定できませんけど)。

 先日、北欧のトナカイ警察の小説の下巻を読み終えました。この作品は、どちらかと言うと、その文体に慣れるのに時間がかかった方で、リズムよく読み進めるようになったのは下巻の後半ぐらいからでした。そこでようやく長い前置きが終わって、さてどんな結末で読者を驚かせてくれるのだろうと期待に胸を膨らませていたのですが、期待が大き過ぎたのか、何だか不完全燃焼感が後に残りました。

 北欧出身の作家による北欧を舞台にした小説が注目されだしたのはもう10数年前で、『ドラゴン・タトゥーの女』あたりからだったと記憶しております。それ以降、北欧の作家が1人また1人と発掘されてじわじわと勢力を広げていき、今ではひとつの立派なジャンルとして確立されました。北欧独特の、同じく寒い国でもロシア文学とはまた趣が異なる陰鬱とした感じの作品が多くて、そもそもミステリー・警察小説なので大抵誰かが殺されますので、読むとスカッと爽やかな気分になる小説ではありませんが、これからもたまには読んでみたいジャンルではあります。

 

 

お尻を使って走る

 以前、ランニングに関する本の中にアフリカ系ランナーの言葉が紹介されていて、そこには「脚で走るのではなく、背中と尻で走るのだ」という主旨のことが書かれていました。「背中」というか肩や肩甲骨は下半身と連動しているので、上半身を上手く動かすことによって脚の動きをスムーズにするというのは何となく分かります。分かりそうで分からないのが「尻」。尻は背中や肩よりも脚に近いので、脚の動きに密接に関係しているだろうことは理解できますが、では具体的にどのように尻の筋肉(臀筋)を使えばよいのかとなると、これがなかなか難しいのです。ユーチューブで検索してみると、ランニング関係のチャンネルの中に「尻の筋肉の使い方」にフォーカスした動画があったので何本か視聴したのですが、それでもやっぱり分かったようで分かりません。それどころが、そういった動画の中では最初は私と同じく臀筋の使い方が分からなかったのに、コーチに指導してもらってコツを掴んで喜んでいたりするので、余計にイライラが募ります。臀筋が使えれば、今よりももっと楽に速く長い距離を走れるようになるのになぁ、と悶々とした気分で今朝も走りに出て、試行錯誤してみたのですが、やっぱり上手くいきませんでした。もっと色々と調べてみて、来週はもう少しマシな走りができるようにしたいです。

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土曜日雑感

 何日か前にiPhoneのOSをアップデートせよとのお知らせが届いたので、面倒くさいなぁと思いながらもアップデートしました。通常のアップデートはバグを取り除いたり、脆弱な部分を補強したりといったものが多いのですが、今回はマスクしたままでも顔認証ができるようにする、と書いてありました。果たしてそんなことができるのか半信半疑だったのですが、アップデート後はマスク有りでもちゃんとロック解除ができてしまうことに驚くと同時に、アップルに対してもっと早くこの技術を取り入れて欲しかったなと思いました。日本以外の諸国はマスクの着用義務をなくしたところが多いので、今更そんなアップデートは不要だろうから、日本だけかもという気はします。

 マスクと言えば、俳句の世界では「マスク」は冬の季語だそうですが、今は皆が年中マスクをしており季節感がなくなってしまったので、季語を収録した辞典の次回の改訂では「マスク」が季語から外されることになるかもしれないと言われているとか。

 楽天証券楽天銀行の口座を開設する際に、楽天ポイントカードのアプリもスマホにインストールしました。巷では楽天ポイントが人気のようで、ポイントがザクザクと貯まっていくのかと期待していたのですが、約2か月経った現時点でたったの40ポイント程度しか貯まっていません。買い物や食事で利用するとポイントが貰えるお店は私の日常的な行動範囲内にたくさんあるのですが、そういうお店(吉野家とかすき家とか)を私が利用しないことが原因。Tポイントカードの方が私にとっては便利かもしれません。

石巻の酒

 神棚にお供えする日本酒については、こちらのブログで何度か書きましたが、お供えとして1日に消費するのは僅かな量で、4合入りであれば大体1か月弱でなくなります。それが今回は私の好みに割と合うタイプのお酒だったこともあり、お供えする度に自分でも毎日少しずつ飲んでしまっていたので、いつもよりも早くなくなってしまいました。そしていつもよりも短いインターバルでいつもの酒屋へ行き、いつもの棚に並んでいる日本酒を眺めていました。その棚には岐阜県内の蔵元の酒がメインで置いてあり、たまに愛知や三重の酒があることもあります。今回はその棚に東北の酒があったので珍しいなと思い、東海地方の酒と比較してどのような違いがあるのかにも興味があったので買ってみました。宮城県石巻市の『日高見』という超辛口の純米酒。飲んでみると確かに辛口で、酒が喉の奥を通過した後にもヒリヒリする感覚がずっと続くほどです。数年前から日本酒を海外へ紹介する動きが以前にも増して盛んになり、そういう際に出される日本酒は吟醸大吟醸といった華やかな香りと甘味が強いもので、まるで白ワインのようであり欧米の食事にも合いますよというのが謳い文句だったりしますが、この『日高見』にはそんな媚びたところが全く無くて、「この味がわかる奴だけ飲んでくれたらいいから」的なキッパリとした男らしい姿勢が潔くて好感が持てます。いつか石巻を訪れて、地元でとれる新鮮な魚を食べつつ、この『日高見』のような酒をぐいぐいあおってみたいものです。

 

折りたたみ傘

 毎朝、スマホで天気予報をチェックして傘が必要かどうかを確認します。今日は午後から雨になるとの予報でしたので、傘は持っていくのは確かなのですが、普通の傘にするか、それとも折りたたみの傘にするか少し迷いました。そして、少なくとも行きは傘が不要なわけだし、午後に降る雨だっておそらく小雨だろうという判断から折りたたみにしました。私の予想通り、仕事が終わって会社を出た時にはほとんど降っていない状態でしたが、歩き出して暫くすると雨足が強くなったので鞄の中から折りたたみ傘を取り出しました。そして柄に付いているボタンを押して傘を広げようとしたのですが、全く反応しません。調べてみると傘を広げるためのバネに繋いである紐がダラっと弛んでいるのが見えました。まだ数回しか使ってない傘でしたが、修理に出すほどの高価な傘ではないので廃棄処分することにしました。それはコンビニで買った1,000円ぐらいの折りたたみ傘で、考えてみれば折りたたみ傘はコンビニでしか買ったことがないような気がします。故に、折りたたみ傘の価格は1,000円ぐらいが相場なんだろうとずっと思っていました。しかし、ロフトの傘売り場へ行ってみると、そこに並んでいる折りたたみ傘は3,000〜4,000円ぐらいのものばかりだし、アマゾンで価格を調べてみると2,500円ぐらいのものが多いことが分かりました。今まで折りたたみ傘なんて1,000円程度だと思い込んでいたのですが、実はその2倍〜4倍もするんだということを知って静かに驚きました。そりゃ1,000円の傘がすぐに壊れて使い物にならなくなるはずだわなと思ったものの、折りたたみ傘ごときに高い金を払う気にはすぐにはなれないので、新しい傘はまだ買っていません。